『今年はモーツァルト没後230年です』
生誕250周年で話題を呼んだベートーヴェン。本当に偉大な作曲家です。ベートーヴェンの曲を聴くときは、なぜか襟を正し、少し緊張感を持って接するほどです。偉大なベートーヴェンもいいのですが、ちょっと食傷気味だと感じられるあなた!たまには、モーツァルトはいかがでしょう。今年はモーツァルト没後230年なのです。(あまり騒がれませんが)
何かの本に書いてありましたが、かの大指揮者カール・ベームが言った言葉に「もし、ベートーヴェンに出会ったら私は、敬意のあまりひれ伏すだろう。だが、モーツァルトに出会ったら、喜びのあまり駆け寄って彼の肩を抱くだろう。」と言ったそうです。モーツァルトの生涯はわずか35年間でしたが、その間作曲した曲は600曲以上、しかも残した曲は不朽の名作揃い、正に驚異的な天才です。しかし、その人間性は気さくで冗談ばかり話す普通の人間だったそうです。妻コンスタンツェは自分の夫が天才であったことをモーツァルトが死ぬまで知らなかったといいます。それほどモーツァルトは「普通の人」だったようです。しかし、残した曲は普通ではありませんでした。
モーツァルトは20代後半から作風に変化が出てきたように思えます。当時ヨーゼフ・ハイドンに献呈した「弦楽四重奏曲」いわゆるハイドンセットです。この6曲(第14番から第19番)により、モーツァルトは大きく変わったように思えます。その後、オペラでは「後宮からの誘拐」を機に「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」「魔笛」特にフィガロ、ドン・ジョヴァンニ、魔笛の3大オペラは私の最も好きなオペラです。これら名作群はモーツァルトが死ぬ4~5年の間に集中しています。これは、父レオポルトの死が影響しているように思えるのです。
レオポルトは幼少期のモーツァルトの天賦の才を発見し、彼に英才教育を徹底しました。父はお客さん(王侯貴族)の喜びそうな曲を書くことを息子に求め、強力なマネージャーとして君臨しました。従順なモーツァルトは、その中で才能を伸ばしていきます。ハイドンセットを書き始めた頃からモーツァルトの才能が大きく開花し、父の求めるものとは違った曲を作り始めました。そんな父も1787年に死に、その影が「ドン・ジョヴァンニ」特にデモーニッシュな短調に現れています。モーツァルトの曲の特徴は、長調で明るく軽やかで美しいハーモニー。その中に突然姿を現す短調の旋律、その転調に戦慄・感動を覚え、魂を震わせれば、それはもうモーツァルトの虜になってしまいます。小林秀雄の「モォツアルト」でアンリ・ゲオンが言っていた「toristesse allante疾走する哀しみ、涙は追いつけない・・・」そんな晩年のモーツァルトを思うとたまらなくなるのです。(柴田 健司)
何かの本に書いてありましたが、かの大指揮者カール・ベームが言った言葉に「もし、ベートーヴェンに出会ったら私は、敬意のあまりひれ伏すだろう。だが、モーツァルトに出会ったら、喜びのあまり駆け寄って彼の肩を抱くだろう。」と言ったそうです。モーツァルトの生涯はわずか35年間でしたが、その間作曲した曲は600曲以上、しかも残した曲は不朽の名作揃い、正に驚異的な天才です。しかし、その人間性は気さくで冗談ばかり話す普通の人間だったそうです。妻コンスタンツェは自分の夫が天才であったことをモーツァルトが死ぬまで知らなかったといいます。それほどモーツァルトは「普通の人」だったようです。しかし、残した曲は普通ではありませんでした。
モーツァルトは20代後半から作風に変化が出てきたように思えます。当時ヨーゼフ・ハイドンに献呈した「弦楽四重奏曲」いわゆるハイドンセットです。この6曲(第14番から第19番)により、モーツァルトは大きく変わったように思えます。その後、オペラでは「後宮からの誘拐」を機に「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」「魔笛」特にフィガロ、ドン・ジョヴァンニ、魔笛の3大オペラは私の最も好きなオペラです。これら名作群はモーツァルトが死ぬ4~5年の間に集中しています。これは、父レオポルトの死が影響しているように思えるのです。
レオポルトは幼少期のモーツァルトの天賦の才を発見し、彼に英才教育を徹底しました。父はお客さん(王侯貴族)の喜びそうな曲を書くことを息子に求め、強力なマネージャーとして君臨しました。従順なモーツァルトは、その中で才能を伸ばしていきます。ハイドンセットを書き始めた頃からモーツァルトの才能が大きく開花し、父の求めるものとは違った曲を作り始めました。そんな父も1787年に死に、その影が「ドン・ジョヴァンニ」特にデモーニッシュな短調に現れています。モーツァルトの曲の特徴は、長調で明るく軽やかで美しいハーモニー。その中に突然姿を現す短調の旋律、その転調に戦慄・感動を覚え、魂を震わせれば、それはもうモーツァルトの虜になってしまいます。小林秀雄の「モォツアルト」でアンリ・ゲオンが言っていた「toristesse allante疾走する哀しみ、涙は追いつけない・・・」そんな晩年のモーツァルトを思うとたまらなくなるのです。(柴田 健司)